2016.6.8
「ひびきのAI社会実装研究会」の目指すところ
九州工業大学 学長顧問 名誉教授 石川眞澄

【研究会の趣旨】

 近年、深層学習(ディープ・ラーニング)などの人工知能研究が著しく進展し、これまで人が行ってきた仕事を人工知能で置き換えることも含め、産業界や社会を大きく変革する可能性が出てきた。
 このような背景を念頭に置き、先導的な取り組みを行うため、公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)は「ひびきのAI社会実装研究会」を本日立ち上げた。
 本研究会は地域や企業と連携しつつ、スマートな町づくりや社会システムづくり、あるいは企業の統轄的技術力強化のため、人工知能技術の動向及び応用分野のニーズや特性を調査し、人工知能技術を地域や企業に導入するとともに、新たな産業創成を模索する。
 その際、単に人工知能技術を導入するに留まらず、地域や企業に於いて人工知能応用の実証実験を行い、更にこれを社会実装にまで深化させることにより、人工知能技術が地域や企業に定着し、その真価を発揮できるものと考えている。

【研究会の構成】

 北九州学術研究都市の3大学の研究者を中心に、産総研、国立情報学研究所、大学等の研究者、企業等の研究者・技術者の参加を予定している。

【研究会の方向性】

これまでの深層学習はややもするとブラックボックス的であり、人が中身を理解できず、人と人工知能システムの共生が困難であった。そこで、人が人工知能システムを理解できることを重視し、両者の特長を生かしつつ、人と人工知能システムが良きパートナーとして協働できる共生社会を目指す。
これまでの深層学習のコンテストでは、ある決まったデータベースという閉じた世界の中で認識率などの学習性能の高さを競ってきた。しかし人工知能の歴史の中では、ロボットなどの知的エージェントが、環境と実時間で相互作用しながら知的に振る舞い、実世界で意味のある結果をもたらすことを探求してきた。本研究会は、閉じた世界だけでなく、開かれた実世界の中でも有効に機能する人工知能応用を追及する。
単に人工知能応用研究を行うだけに留まらず、人工知能技術の有効性を現場で実証し、更にこれを社会実装にまで深化させることを目指す。
人工知能応用研究からスタートするが、実証研究及びその社会への実装を通じて、人工知能基盤研究にも貢献する技術的ブレークスルーが出現することも期待する。